◆ 鬼子母神大祭について
その年に、千葉県市川市中山にある正中山法華経寺で行われる寒の荒行をを満行した僧侶をまねき、当寺で水行・加持祈祷を行う大変ご利益のある行事です。
◆ 日蓮宗の荒行について
日蓮宗が世界三大荒行の一つと位置づけている寒の荒行は、300年の歴史を誇るもので、千葉県市川市中山にある正中山法華経寺の日蓮宗大荒行堂で行われる。
荒行僧と呼ばれる彼らは、正確には加持祈祷を行う修法師(しゅほっし)である。日蓮宗の僧侶のうち、100日間の荒行を満行した者は、伝師(でんし)(加持祈祷の師範)から秘法を受け、宗務総長より修法師として任命される。木釼(ぼっけん)を持つ以上、彼らは既に任命を受けている。
左手に長い総(ふさ)の数珠(じゅず)、首に下げている円筒状の錦の袋の中には、修行中実践した自筆の写経(御祈祷経と呼ばれる日蓮聖人が選んだ法華経の肝文(かんもん)「撰法華経(せんほけっきょう)」を書き写したもの)が納められている。これらは命がけの荒行を経て手に入れた彼らの宝物で、修法師の命であり象徴である。
毎年、全国の日蓮宗の寺院から正中山法華経寺に派遣される荒行僧は100人を超えるという。 荒行僧になるには日蓮宗の僧侶のうち修法規程に沿ったものに限られ、厳しい修行に耐えうる体力と精神力が要求される。
荒行僧の一日は、早朝2時半に起床し、朝3時の一番の水から3時間毎に午後11時まで1日7回、寒水に身を清める「水行」をはじめ、「万巻の読経」、「木釼相承」、相伝書の「書写行」がある。食事は朝夕2回、梅干し1個と白粥だけという。
冷たい水を浴び、お粥を食べ、死ぬほどの厳しい修行を通じて罪を悔い改め、心から反省するならば、生まれ変わったように尊い身となるという。
お粥だけでは体力がつかないので、現在では親族などから差し入れが認められているという。それでも中には環境の急激な変化に順応できず、食欲がなくなり、体力を消耗し、100日間の荒行に堪えきれない人もいるようで、途中で退堂(,たいどう)となる。
過去には衰弱死することもあったようで、規定では遺体を荼毘(だび)に付し、同僚の成満(じょうまん)を待って退堂することになるという。現代は健康管理をしっかりしているようで、そのような事故はないという。寒いため、あかぎれからばい菌が入り、抵抗力が低下しているため、化膿して腫れ上がり、歩けなくなることもあるというから、本当に過酷な修行である。
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